耳鳴りにはどういうものがありますか?

耳鳴りとはほとんどの場合、「音源が存在しない音の知覚」のことです。すなわち音がなっていないのに、音として感じるものです。本人しか聞こえないので、自覚的耳鳴りといいます。まれに、耳の血管の狭窄、腫瘍などで、実際に音がしている、他覚的耳鳴りもあります。

耳鳴りの原因はなんですか?

内耳の一部の蝸牛の障害によるものが多いとされています。急に耳鳴りがおこる、急性の耳鳴りの原因としては、突発性難聴、急性低音傷害型感音難聴、音響外傷、メニエール病など、難聴をともなうものも多く見られます。耳鳴りが3ヶ月以上続く場合を慢性の耳鳴りといい、上記疾患の他に、老人性難聴による内耳損傷や、脳血管の動脈硬化、糖尿病、高血圧によるものも含まれます。

急性の耳鳴りの治療は?

原因疾患が、はっきりしている場合は、原因疾患の治療をおこなうことにより、耳鳴りも改善します。難聴もなく、原因もはっきりしない場合は、一般に血液の循環を良くし、耳の組織に十分な酸素を補給するような薬を投与します。

慢性の耳鳴りの治療は?

慢性の耳鳴りの場合も、急性の耳鳴りと同様の内服治療をおこなったり、キシロカイン静注療法や、マスカー療法、バイオフィードバック療法など、いろいろなものがおこなわれていますが、耳鳴りがなかなか軽快しないことも多く、治療に難渋することがあります。このようになおりにくい慢性の耳鳴りのなかには、はじめは急性の耳鳴りをきっかけにおこることが多いのですが、脳がその耳鳴りを、危険で重要なものと認識して増幅して知覚されるようになって続いているものがあると考えられています。したがって、前述の内耳の循環をよくする治療などでは、あまり改善がない場合もあります。このような、慢性の耳鳴りの場合、耳鳴りを重要でないと脳に認識させ、呼吸の音や、冷蔵庫の音などのように、意識すれば聞こえるが、普段は意識しない音として感じるようにする、TRT療法(耳鳴り順応療法)が、効果がある場合があります。

TRT療法とはなんですか?

耳鳴りの理解、カウンセリング、TCI(持続的に心地よい治療音をならしつづけ、静寂を避け、耳鳴りから注意をそらす機械)の装用などによって、耳鳴りを知覚しないように訓練する治療です。難聴がひどく、TCIが聞こえない方は、補聴器で環境音をいれることもあります。耳鳴りを消失させる目的の治療ではありませんが、耳鳴りの負担は軽くなります。
治療効果は、いろいろな報告がありますが、数ヶ月の治療で、70パーセントぐらいの方は改善するようです。
TCIの費用が6万3千円と、高価で保険がきかないのが欠点ですが、副作用もなく、耳鳴りの状態によってもちがいますが、試してみても良い方法だと思います。